Saraboyの生物ノート

生物について色々気ままにかいていきます

【免疫】抗体のクラススイッチとは?

今回はB細胞で起こっているクラススイッチという現象についてです!

 

 

クラススイッチ(Immunoglobulin class switching)

 

免疫グロブリン定常領域Fc領域)が、可変部を変えることなくIgMからIgGIgEなどに変化することをいう。

 

H鎖の定常領域がクラススイッチを起こすことが知られている。

 (H鎖=Heavy chain)

 

 

抗体のアイソタイプとは?

 

・H鎖によって決まっており、性質や役割が異なっている。

 各性質は以下の通り。

 

  • IgG
    ・IgG1、IgG2、IgG3、IgG4が存在しヒトの血液中に最も多く含まれるクラス。
    ・ヒト免疫グロブリンの約70%を占めている。
    ・妊娠中の母親は胎児に血液を通して供給し、胎児の免疫機能を支えている。

  • IgM
    ・ヒト免疫グロブリンの約10%を占めている。
    ・抗体のY字構造が5つ結合した複合体を形成する。
    ・抗原の侵入に対して最初にB細胞から産生され、一時的に増加する。

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    抗体5量体イメージ
  • IgA
    ・ヒト免疫グロブリンの約10~15%を占めている。
    ・血清や腸液などの粘液に存在し分泌されると二量体を形成する。
    ・IgAは母乳にも含まれており、生まれたばかりの新生児の消化管を守る働きがある。

  • IgEIgD
    ・人においてはごく微量しか存在していない
    ・IgDはB細胞の抗体産生誘導に関与しているともいわれているが、正確にはよくわかっていない。

 

 

 

クラススイッチを誘導するサイトカイン

 

・成熟したB細胞ではサイトカインの作用によって、表面に発現しているIgMの定常部の構造を変化させ、IgG、IgE、IgA産生B細胞へと分化し、メモリーB細胞へと分化していく。

 

・この時に作用するサイトカインの種類によって、クラススイッチの結果産生される抗体の種類も変わっていく。

 

<サイトカインの例>

IL-4:IgG1、IgEへのクラススイッチを誘導する

IL-5:IgAへのクラススイッチを誘導する

IL-6:IgG、IgA、IgMの抗体産生を促進する

INF-Y:IgG2a、IgG3へのクラススイッチを誘導する

TGF-β:IgG1、IgG2、IgG3、IgAへのクラススイッチを誘導する